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汚泥撤去 体験後記 (宮城県東松山市)

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体験後記:汚泥撤去ボランティア(宮城県東松山市)平成23年4月26日

未明、夜行バスから降り立った。
街全体が異臭に閉ざされている。
20年ほど前の呑川下流の様な匂いと粉塵がその街に居座っている。

 

そんな中でその街の住人は必死に生きている。
悪夢の前の生活を取り戻そうと、、、。

 

大田区からの派遣で現地に降り立った総勢25人。
ほぼ男性20代~50代と女性が5人ほど、皆が一様に今日一日の激務を覚悟し
静かに闘志を持ってここに集結した。

 

基本的にはその多くが初対面で見ず知らずの人たち。
だがそこには、大田区民であることと日本国民であることの連帯感が
目には見えない糸のようなもので存在している。

 

現地のコーディネーターのレクチャーを終え
それぞれ班をつくり5人一組で行動開始。

 

東松島市陸前赤川地区の街をローラー作戦で一軒一軒訪ね歩き
要請を受けて作業する。

 

この街は海から数キロはなれた地点だが
家・道路・公園・・・すべてをあの津波の被害にみまわれている。
家人に聞くと、家の中で胸程の高さまで水がきたとのことなので
道路に立つと人の頭くらいまでの水深が街全体を覆ったと思われる。

 

想像を絶する量の水が引けた跡に、置き土産になったのが大量の汚泥だ。
その汚泥は厄介なことに、油と混じりゼリー状になっている。
部分的にはそれが乾燥してガリガリにひび割れ固まっている。
それが、街全体を覆っている異臭と粉塵の正体。

 

こいつを撤去するのが今回の任務。

必ずしも人命に関わることではないが
かなり必要なことであることはその作業をしながら後で痛感することになる。

 

このヘドロは、感染症や破傷風を誘発するばかりでなく下水などのライフラインを完全に詰まらせ、
生活を立て直そうとする人々の戦意をそぎ取っていく。
作業をして解ったことだが、このヘドロ、そんじょそこいらの土とは訳が違う。

 

…海水、油、土、砂などの混合物であり、寒天状になっていて、水分の多いものは
ものすごく重い。
乾燥したものはものすごく硬い。

 

とてもとても一人でこの物体を撤去することは不可能に近い。
そんな中で家人は必死に生きている。
ばらばらの家具・何かの残骸・ぶよぶよにふやけた畳や床・悪臭のなかで
生活を立て直そうと必死に格闘している。しかも・・・風呂も入れずに。

 

あるお宅で要請を受け、作業に取り掛かった。

 

庭や側溝にたまったヘドロ撤去。
5人が意気込んでスタート。
慣れない作業と想像以上のヘドロの重さに、30分もしないうちに息が上がる。

 

…この日の天気は晴天。
この晴天でも必須なアイテムがある。
雨合羽・ヘルメット・ゴーグル・作業用ゴム手袋・防塵マスク
感染症や怪我を防ぐためにこれらは天候に関わらず装着しなければならない。
確かに、ヘドロの中には原型をとどめない金属やガラス破片も混在している。
無防備な姿では二次災害を招く。

 

作業を始めると、あっという間に汗まみれ泥まみれ。
握力70kgを誇る自慢の豪腕が震える。
こんなことにも耐えうるように俺の体は出来ている!
そう自分に言い聞かせひたすらヘドロと格闘。

 

わたしと一緒に作業していた20代と思しき男性も肩で息をしている。
『ほれ!始まったばっかだぞ!気合だ気合!!』と豪さん節を吹く私。
『はいっっっ!』といい返事の若者。

 


柔道部の夏合宿を思い出す。

 

ヘドロの中にズシッとした感触。何かと思ったら死んだ魚。

30cmを超えるボラでした。海水が確かにここまできたんだなと実感。

 

格闘すること2時間。家人に笑顔が戻り終了。
奥さんは目に涙を浮かべて『神様みたいな人たち。大田区からですね。一生忘れません。』と手を合わせて拝んでくれました。なんと言葉を返していいかわからない私たち。
まだまだやってあげたいことは(家の中のことも)山ほどあるけれど、私たちはヘドロ撤去が使命なのでここで退散。

 

さあ次の家

 

どの家も一階の窓を開け放ち、畳を起こし基礎や家の中に溜まったヘドロや
残骸との格闘をしている。私たちが作業をしているのを見つけて
『うちもお願い・我が家もお願い』と数人から声をかけられた。
市民の困窮具合が伝わってくる。

 

ここで実感した。

 

…『人手が足りない!』

 

5人分働くつもりできた私ですが、手が10本あるわけではないのでやはり頭数が必要。
これだけ小さな町でこんなに声をかけられるのだから、一時の思いつきではなく、
永く継続する必要もある。

 

そんなことを思いながら2件目3件目と作業を進めていき、気がつくと夕方。
みんな憔悴と同時に充足した面持ち。
あー帰ったらビール呑も。

 

私は新潟の中越地震のときにも3日間の作業をさせてもらいました。
そのときに比べてやはり津波の及ぼしている影響が甚大だと痛感。
日本国民総動員で作業に当たりたいくらい。

今後の事として行政へのお願い。
ハード~ソフトの支援を体系化してほしいということ。

 

中越のときもありましたが、必ずしも今回の汚泥撤去などのハード(重労働)な科目だけではなく、地方は老人世帯が多いので家の中の整理を手伝うことだったり、お話相手だったり、簡単な掃除もいいでしょうし、様々な取り込みが必要です。重労働ではなく、ソフト路線でも必要なことは無尽蔵にあるし、科目を増やせば参加できる人も増える。

 

それと、安全な場所を選んで小中学生にも参加してもらうのはいかがでしょうか。
稀有な教育の一環とも捕らえることが出来るし、子供たちでも頭数が揃うと相当なことができるはずです。
小中学生でも出来る取り組みはこれまた無尽蔵にあります。

 

さあ!日本を立て直そう!

 

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区民と区の連携で、宮城県東松島市現地支援ボランティア活動に取り組みました。
【5月は連休明け以降から活動予定】
http://www.city.ota.tokyo.jp/shinsai/shien/volunteer0414/index.html
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